ひも状異物の誤飲

最近、ひも状異物の誤飲が増えています。特に若いネコちゃんが髪留めゴムを誤飲する事が多くなっています。髪留め以外にも猫のおもちゃについているたこ糸、プラスティック製のひも、カーペットの繊維、など、戯れて遊んでいるうちに飲み込んでしまいます。

ひも状異物が胃の中だけでとどまっている場合は、無症状な場合も多く、もしくは軽度の症状にとどまります。間欠駅な嘔吐、食ムラなどが見られることが多いです。胃の中だけの場合、内視鏡で除去することが出来る場合もあります。短いひもであれば、小腸を流れ便から出てくれるかもしれません。ある程度の長さになると片側がアンカーとして胃の中に引っかかり、もう片側が小腸内に流れていきます。小腸はひもを先に送ろうと必死に動くので、結果的に小腸はアコーディオン状になり、最悪の場合小腸が裂けて、小腸の一部切除と小腸再吻合が必要となります。

5歳のネコちゃん、髪留め用ゴム紐を誤飲。内視鏡で摘出

2日前にゴム紐を誤食、飼い主さんは飲み込んだところを見てませんでしたが、丸いヘアゴムを1個嘔吐し、それ以来1日4回嘔吐している。食事は取るがその後嘔吐してしまい、来院されました。

レントゲンで緑の枠内に、白い筒状の物が多数見られます。これが髪留め用ゴム紐の一部です。レントゲンに反応する金属繊維が写っています。

猫の異物1.mp4

超音波検査の画像は小腸に入り込んだゴム紐が見られます。

レントゲンと超音波検査の所見から内視鏡による除去が出来る可能性があると判断しまし、まず内視鏡を行いました。結果的に内視鏡で異物を取り除くことが出来ました。術後の処置も特に必要なく、1日入院で退院しました。

1歳8ヶ月猫ちゃん、ひも状異物、開腹手術、胃切開と2ヶ所の腸切開で異物除去

2日前から嘔吐、食欲もなく来院されました。

レントゲン上でアコーディオン状になった小腸が見られます。

猫の異物2.mp4

超音波検査でアコーディオン状の小腸とひも状異物を確認することが出来ます。この状態では内視鏡による除去は不可能であるため、開腹手術を行います。

2枚目の写真は手術画像です。苦手な方はご遠慮ください。1枚目は手術で取り出したひも状異物です。2枚目は開腹手術の写真です。アコーディオン状になった小腸が見られます。ひも状異物は胃から小腸にかけて長く入り込んでいました。胃切開、2ヶ所の腸切開を行い、ひも状異物を3つに切断して、それぞれの切開部から異物を取り除きました。術後の経過は良好で3日間入院の後退院しました。

8歳10ヶ月小型犬ワンちゃん、ゴム製ひも状異物、胃切開、2ヶ所の腸切開で異物除去

2日前に2回嘔吐、1日前に2回嘔吐、食事はほんの少ししか食べないと、来院されました。

犬の異物1.mp4

レントゲンでは判断出来ませんでしたが、超音波検査でアコーディオン状の小腸と中心にひも状異物が確認出来ます。

2枚目の写真は手術画像です。苦手な方はご遠慮ください。1枚目は除去した異物です、ゴム製のひも状異物とカーペットの繊維が束ねられひも状異物となったいます。2枚目は開腹手術の写真です。アコーディオン状になった小腸を見ることが出来ます。胃切開、2ヶ所の腸切開を行い、ひも状異物を3つに切断して、それぞれの切開部から異物を取り除きました。3日間入院の後退院しました。