がん検査
現在当院で利用可能な犬の腫瘍マーカー検査がいくつかあります。長所短所を記載しましたので、ご興味のある方はご覧下さい。
血液がん検査【リキッドバイオプシー】
この検査の特徴としては、検査の感度が非常に高い点です。感度が80-90%、乳がん・扁平上皮がんを除けば90%以上の感度のある「がん検査」となります。他にも犬の腫瘍マーカー検査がありましたが、ここまでの感度の高い検査はありませんでした。現在12種類のがんに対する検査が可能です。欠点としては費用が高いことです。しっかりした検査をご希望の場合は良い検査だと思います。
検査対象のがん種類とその感度
肝臓がん:感度94%・特異性100%
口腔内メラノーマ:感度96%・特異性100%
尿路上皮がん:感度93%・特異性100%
悪性リンパ腫:感度100%・特異性100%
肥満細胞腫:感度90%・特異性90%
扁平上皮がん:感度86%・特異性90%
乳がん:感度75%・特異性75%
鼻腔腺がん:感度95%・特異性87%
肛門腺がん:感度91%・特異性95%
血管肉腫:感度97%・特異性97%
骨肉腫:感度92%・特異性82%
注意点
この検査は、がんの確定診断の検査ではなく、補助診断のひとつになります。陽性結果が出た場合、血液検査、画像検査、生検検査などで確定診断をしていきます。
乳び(血液中に高濃度の脂肪が含まれる状態)もしくは溶血した検体では検査が行えません。そのため採血前12時間の絶食が必要です。それでも乳び、溶血している場合は検査が行えません。
デリケートな検査のため、採血後なるべく早く検査センターに発送、検査開始が必要なため、採血は月火水の午前中となります。
採血に太い注射針を使う必要があります。小型犬の場合、頸部血管からの採血が必要になる場合があります。
結果は1週間前後で出ます。
検査費用は(がん1-12種類)¥22,000-77,000(税込)です。
血液がん検査【nu・Q Vet Cancer Test】
この検査も血液検査ですが、長所は他の検査に比べて費用が安いことです。欠点は感度はあまり高くありません。また対象となるがんの種類が少ないことです。リンパ腫と血管肉腫は80%前後の感度があります。中型犬、大型犬は血管肉腫が多いため、中大型犬で費用を抑えて軽く検査する場合は良いでしょう。
リンパ腫:感度77%
血管肉腫:感度82%
組織球腫:感度54%
全身性がんの76%を検出できる。全ての7つの主要がんの50%を検出可能。
特異性は97%
注意点
この検査は、がんの確定診断の検査ではなく、補助診断のひとつになります。陽性結果が出た場合、血液検査、画像検査、生検検査などで確定診断をしていきます。
デリケートな検査のため、採血後なるべく早く検査センターに発送、検査開始が必要なため、採血は日月火水の午前中となります。
採血前4時間の絶食が必要です。
数日で検査結果が出ます。
検査費用は¥9,900(税込)です。
尿がん検査【N-NOSE】
この検査は尿を使ったがん検査となります。感度は【リキッドバイオプシー】ほど高くありません。費用は【リキッドバイオプシー】よりも低いです。欠点としては、感度が少し低め、「何の種類がん」なのか判定ができないことです。
胃がん:感度86.7%
大腸がん:感度89.4%
肺がん:感度80.6%
乳がん:感度80.9%
子宮がん:78.5%
膵臓がん:感度83.1%
肝臓がん:感度76.6%
前立腺がん:感度86.2%
食道がん:感度85%
卵巣がん:92%
胆管がん:感度81%
胆嚢がん:感度76.2%
膀胱がん:感度85%
腎臓がん:感度78.6%
口腔咽頭がん:感度78.6%
全体の感度86%
この検査ではがんの部位を特定することは出来ません。
この検査は、がんの確定診断の検査ではなく、補助診断のひとつになります。陽性結果が出た場合、血液検査、画像検査、生検検査などで確定診断をしていきます。
採尿前2時間の絶食が必要です。
尿に潜血(血液)が混じると検査が出来ません。
ワクチン接種後1週間以上の間隔が必要です。
フィラリア予防薬投与後4日間以上の間隔が必要です。
注射型フィラリア予防薬プロハート(当院では使用していません)接種から6ヶ月間は検査が出来ません。
結果が出るまでに4-6週間かかります。
検査費用は¥22,800(税込)です。