免疫細胞療法
免疫細胞療法とは
これまで、がんの治療は「外科療法」「抗癌剤療法」「放射線療法」が3大療法として行われてきました。免疫細胞療法はそれらに次ぐ第4のがん療法として研究開発が行われています。動物には体内に発生したがんを攻撃する自身の免疫システムが備わっています。小さながんであれば、それら免疫システムががん細胞を死滅させます。この動物自身の免疫システムを再生医療の技術で強化し、抗がん治療として使用するのが免疫細胞療法であります。当院では2012年以来、350回以上の免疫細胞療法を行っています。
抗癌剤は腫瘍細胞を攻撃しますが、それ以外の正常細胞をも攻撃します。故に副作用が多く発現します。免疫細胞療法は、その動物由来の細胞を使用するため、抗癌剤と違い腫瘍細胞以外を攻撃しません。よって副作用は非常に少なくなります。
副作用が非常に少ないため、血液検査等が余り必要とされません。よって頻繁に来院する必要がありません。
これまでのがん3大治療と併用することが可能です。
活性化リンパ球(CAT)療法【犬猫】
がん細胞を攻撃する働きを持つ免疫細胞Tリンパ球を、採血し体外で活性化させ、約1000倍に培養増殖した後に、点滴で投与します。
がん外科摘出後のがん再発予防
がんの進行を抑える
生活の質QOL(体調の改善)の向上
他治療との相乗効果
大きな利点として、
副作用が非常に少ないため、高齢のわんちゃん・ねこちゃんでも使用可能です。
血液検査など副作用チェックの検査が多く必要ではなく、来院頻度がかなり少なくなります。
欠点として、
培養には約2週間かかるため、初期の投与までに時間が空いてしまいます
大きな腫瘍がある場合、これを消し去るほどの強い効果はありません
費用は抗がん剤を行うのと同じか、それ以上かかる場合があります
当院では以下のケースで使用することが多いです。
悪性腫瘍の外科切除後に再発防止で使用する。乳癌、悪性黒色腫、B細胞型リンパ腫、腺癌、血管肉腫など。
外科手術はしないが、腫瘍の進行を遅くする目的で使用する。
外科手術はしないが、体調改善を目的に使用する。
抗ガン治療などと併用して使用する。
樹状細胞+がん抗原認識型活性化リンパ球(DC-CAT)療法【犬猫】
樹状細胞はリンパ球に攻撃すべき腫瘍を指示する役割があります。樹状細胞と腫瘍細胞を一緒に培養し樹状細胞に攻撃対象を教え込ませます。上記の活性化リンパ球とともに投与し、その特異的に腫瘍細胞を攻撃させ、効果をさらに強化する方法です。
この方法では培養するときに腫瘍細胞が必要となります
抗腫瘍効果は高くなります
費用は活性化リンパ球療法より高くなってしまいます
培養期間は活性化リンパ球療法と同じ約2週間です
副作用は活性化リンパ球療法と同じで非常に少ないです
当院の使用ケースは活性化リンパ球療法と同じです
キラーセル(KC)療法【犬】
リンパ球ではなく、ナチュラルキラー細胞を培養増殖し、投与する方法です。活性化リンパ球療法より強い抗腫瘍効果があるとされています。比較的新しい療法ですので、当院ではまだ多くの使用例はありません。
alphaDC療法
樹状細胞を増殖活性し、腫瘍細胞に直接投与する方法です。樹状細胞の増殖活性化に腫瘍細胞が必要ないのが特徴です。培養期間が短く約1週間で投与可能です。体外にできた腫瘍に使用することが多いです。樹状細胞・活性化リンパ球療法より費用が抑えられます。